このたび、AND COLLECTION Contemporary Art ではニューヨークで活躍する現代作家ロバート・マーズの個展「CELEBUTANTS」を開催いたします。
ロバート・マーズは1950〜60年代の当時を席巻したアメリカの大衆文化を象徴するセレブリティや商業芸術からインスピレーションを受け、時代の寵児と言われたスターの存在を讃え、唯一無二の忘れ難い神話であることを作品に表現している。今展ではアメリカのポップカルチャーの黄金期を象徴する映画界のスター、機械工学の傑作など、ミッドセンチュリーの大衆文化にフォーカスした新作を多数展開する。
ロバート・マーズのアメリカ芸術への探究心は留まることなく、美術表現を深掘りするため現代美術の基礎を築いた抽象表現主義に根ざしたコンセプトで作品へと昇華している。
アメリカ文化に根強いフォークアートを用いてヴィンテージの新聞紙を幾つものキルトパターンで組み合わせて制作している。柔軟な視点でポップアートの美学に取り入れたアーティストであり、フォークポップという独自のジャンルを築き上げた。
手作業と時間の瞑想が混ざり合い、見過ごされがちな民芸品は、彼の具象的な作品群に使われている背景と呼応する。ヴィンテージの新聞紙に、緩急のある筆致で背景を彩り、時に強調し、時に抹消することで、社会構造と秩序への反抗を表現している。ヴィンテージの新聞紙は過去の事象への架け橋となり、作品を歴史の中へと固定する。幾重にも重なる色彩の対話、それらを通して垣間見える事象はまるで計算されたかのような壮麗な構図を織りなしている。
近年ではソーシャルメディアでの表面上の自己表現は容易なものとなり、視覚的な情報が何百万人もの人々に絶え間なく流され、だれもが即時的に名声を得られる時代へと変化した。インターネットの出現に伴いメディアへの神秘性は相対的に薄くなったとも言える。
これらのテクノロジーが普及する以前は、マリリン・モンロー、エルヴィス・プレスリーなど、スターのキャリアは映画制作会社の重役や、ファッションショー、テレビ番組のプロデューサーなど業界を取り巻くキーパーソンによって強固に形成されていた。そして神格化されたスターの存在は現代のアメリカ文化だけでなく、世界的なマーケットに影響をもたらし続けている事実が今も顕在している。
古き良き時代の郷愁は色褪せることなく、その輪郭は時代の移ろいと共に色濃く変化し、鑑賞者を新たな価値へと導くだろう。



